働き盛りが読書しない日本に、やがて訪れる「思考停止」社会

<日本の30代~40代の読書率が、21世紀に入ってからの10年間で大きく下がっている。全国地域別の調査でも読書実施率の低下は顕著で、まるで日本では「知の剥奪」が進んでいるようだ>

「働き方改革」をどう実現するかが社会的課題となっているが、先月の福井新聞に次のような文章が載っていた。ブラック企業問題に取り組む、福井県の弁護士の談話だ。

「長時間労働で疲弊した人は新聞を読む気力もなく、物事を深く考えなくなる。少しの情報だけで自分の意見を決める。それが世論になってしまう。欧州では家族で食事をとりながら会話をしたり、広場やカフェで自由に議論をしたりする。時間に余裕があるかどうかは、民主主義の成熟と深く関わっている可能性がある」(福井新聞、2017年3月20日)。

日々の仕事に精一杯で、知識の「肥やし」を得ることができずにいる、日本の労働者の現状を言い当てている。この記事では新聞に触れているが、国民の読書の頻度も減ってきている。その傾向は、働き盛りの年齢層で顕著だ。

過去1年間に、自発的な趣味として読書をした人の割合の年齢カーブを描くと<図1>のようになる。2001年と2011年の折れ線グラフを比べてほしい。
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