楠木建が考える「読書の超絶的コストパフォーマンス」

 あくまでも個人的な好き嫌いの話として聞いていただきたい。

 出口治明さん(ライフネット生命創業者、立命館アジア太平洋大学学長)を尊敬している。これ以上ないほどの極上の知識人・教養人だ。出口さんは言う。「見聞を広げ思考を深める方法は人・本・旅、この3つに尽きる」。まったくその通りだと思う。

 出口さんはすこぶるフットワークのよい方で、世界各地を頻繁に旅し、古今東西のあらゆる書物を渉猟し(とりわけ歴史的古典の読み込みは尋常一様でない)、多種多様な人に会いに出かけるのを厭わない。

 アタマでは出口さんの「人・本・旅」説に賛成なのだが、徹頭徹尾非活動的なタチなので、体がなかなかついていかない。僕にとっての旅は、仕事での出張を除けば、単なる休暇というかリフレッシュというか、ようするに休息の時間であり、リゾート地や温泉に行ってダラダラすることでしかない。

 この原稿を書いたらすぐに、仕事でインドのバンガロールに行くことになっている。せっかくバンガロールまで行くのだから、ついでにあちこちを見て歩いて見聞を広げるに若(し)くはなし、とアタマでは思う。しかし、そういうことがどうにも億劫なのだ。僕の予想では、今回もおそらく仕事以外は何もせずに帰ってくると思う(この予想はほぼ毎回当たる)。

 これまでの経験を振り返ってみても、..>> 続きを読む..

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