モンスト作ってミクシィ救った男の「理系脳」

BOOKウォッチ編集部コメント

世界で4500万人が利用するスマホゲームアプリ「モンスターストライク」(以下、モンスト)を大ヒットさせ、右肩下がりで業績が低迷していたミクシィをV字回復させた男がいる。現・同社代表取締役社長執行役員の木村弘毅さんだ。本書『自己破壊経営』(日経BP社発行、日経BPマーケティング発売)は、木村さんが多くの失敗経験や着想の秘訣などを公開、途中入社から10年で社長にのぼりつめたその半生を綴ったユニークなビジネス書だ。

スマホゲームをいっさいやらない評者でもモンストの名前は知っている。あふれるほど大量のテレビCMが流れ、その名を聞かない日はないほどだ。2013年10月のリリース以来、利用者と売上げは増え続け、ミクシィの売上高1891億円(18年3月期)の約9割をモンストが占めている。

成功の要因は後述するとして、木村さんは自分の失敗から書き出している。08年にITサービス企業からミクシィに移ったが、SNS「mixi」は、FacebookやTwitterなど新しいSNSに押され、苦しい状況だった。そんな中、「mixiパーク」というスマホ向けアプリの企画・開発を担当した。友達や兄弟など親しい間柄でのコミュニケーションをめざすアプリだったが、まったく伸びなかった。別の会社との共同事業だったため、「同じ釜の飯」を食えなかった開発体制とゲーム内容に問題があった、と振り返る。

赤字で追い詰められアイデアひねり出す

会社の業績は四半期ベースで赤字に転落。次のゲームがダメだったら会社とともに自分も沈むしかない、と腹をくくった。アイデア出しに使ったのが「ブレーンストーミング(ブレスト)」ではなく「ブレーンステアリング」という手法。20個ほどの問いを木村さんが作り、4人で解決策をステアリング(誘導)した。時間が足りなかった。画面をビリヤード台に見立てて遊ぶ案が浮かび採用した。

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