「投資なんか、おやめなさい」「長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい」「掃除は『ついで』にやりなさい!」――。最近、「〇〇なさい」と強く言い切る本のタイトルが目立つ。ベストセラーも出ていて、読者は反発を覚えるだけではないようだ。これらのタイトルに、出版社はどのような思いを込めているのか。ビジネス書や実用書などを多く出し、「なさい」本も手掛ける出版社の一つ、かんき出版(東京都千代田区)の編集部長大西啓之さんに聞いた。(聞き手 メディア局編集部 阿部明霞)
なぜ命令調のタイトルがウケるのか?
――「置かれた場所で咲きなさい」(幻冬舎)、「肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい」(飛鳥新社)……。唐突な命令口調で、読者の目を引き付ける「なさい」本。「××し放題」「▲▲するだけでOK」など、至れり尽くせり型のキャッチコピーが世に溢あふれる中で異色とも言えるが、読者の反応は正直なところ、どうなのだろうか。
本のタイトルにも流行や移り変わりがありますが、今は「直球勝負」のタイトルが手に取られやすい。命令や断定調の、短くて「刺さる」タイトルが読者に受け入れられています。
情報過多の時代だからでしょう。(SNSなどを通じ)「私はこう考える」と百家争鳴に好きなことが言えて、あまりにも情報が多い。読者は「どれが正しいんだ?」と迷っている時代でもあります。そういう中で、「〇〇なさい」と断定してくれるタイトルは、少なくとも読者を一瞬、振り向かせる効果があるのではないかと思います。
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